「デュアルガトーデポ」「火星人シリーズ」をご活用
口溶けのよいマドレーヌを「デュアルガトーデポ」で実現

有限会社 ル・クレール 様(群馬県太田市)

群馬県太田市。県南部に位置し、自動車製造を中心に発展した全国有数の工業都市として名高い。1983年、この地に、地域の方々に喜んでもらえるお菓子づくりがしたいと、ご夫婦で創業した洋菓子店「ル・クレール」様がある。フランス語で「光」を意味する店名の通り、使う材料と鮮度にはとことんこだわり、主役であるお菓子たちに「光」があたるようにと地道な努力を重ねてきた。やがて同店の商品は、ここでしか買えない新鮮でおいしいお菓子として地域の方々からも圧倒的な信頼を得ていったのである。そしてこのたび、新店舗オープンに合わせて、パティシエが1年の歳月をかけてつくり上げた、和風マドレーヌ「ふうわ菓」が完成した。生産には 弊社の「デュアルガトーデポ」が欠かせないと言う。週末には、1日600人を集客するという人気の新店舗をお訪ねして、社長の伴場浩二様にお話を聞かせていただいた。

新食感の和風マドレーヌ誕生

訪問すると、伴場社長は新店舗とフロア続きになっている洋菓子工場に案内してくれた。生産前の「デュアルガトーデポ」を横目に、まず新商品「ふうわ菓」の開発エピソードからお聞きした。「とにかく口溶けのよいマドレーヌをつくりたかったんです。マドレーヌは、食べた時に口の中でかたまりになりやすいんですよね。もちろんこの独特の食感が特徴でもあるんですが、これをもっと軽い食感で、ご年配の方から子供さんまで誰にでも気軽に食べてもらえるようにアレンジしたかったんです。今回は、大納言がアクセントになって和風の味わいもプラスできたので、年齢層も用途もかなり広がっていると思っています。うちのような地方店は、従来のレシピ通りにつくってこれが定番のお菓子ですから、これに慣れて買ってくださいというわけにはいきません。最終的にお客さまに喜んで買ってもらえる味、食感に、こちらが仕上げていかないと」。そう言い切る伴場社長の視点は常にお客さまと同じ位置にある。

「デュアルガトーデポ」という選択

こうして誕生した和風マドレーヌ「ふうわ菓」。次に生産体制についてお聞きした。
「これも私のこだわりなんですが、乳化剤を使わない配合にしたかったんです。当然少量の手絞りなら問題ありませんが、ある程度の数もつくらなければならない。手持ちの機械で何度もテストしてみましたが、どれもうまくいきませんでした。そんな時に『火星人』を使っている流れで、レオンの営業の方とお話しする機会がありましてね、聞いたら『うちにもデポジターがありますから、よろしければ実機でぜひテストしてみてください』と言って、すぐに段取りしてくれたんですよ。それじゃとやってみたら、不思議とこれだったらいけるというレベルに仕上がったんです。私自身機械に強いほうではないので、レオンさんにデポジターがあるのも知らなかったんですが、デポジター自体がメーカーが違っても基本的な機構は一緒だろうという固定観念がありました。『デュアルガトーデポ』は、機構がまず違うんですね。説明を聞いて、実際にテストをしてみて、これならできると確信が持てました」。

部品が軽くて掃除をしやすい!

取材当日、「デュアルガトーデポ」の操作を担当していただいた、シェフパティシエの佐藤晶(あきら)様に実際の使い勝手について聞いてみた。
「今は週に2回の稼働ですが、とにかく生産性がいいですね。素早く生地が絞られて鮮度を損なうことなく仕上げられます。25コートのミキサー1回分で、160個絞れます。通常は、これを10回で1600個を生産していますが、多い時には、2000個~3000個というのもやったことがありますよ。『デュアルガトーデポ』の生産性をもってすれば可能です。手絞りでこれだけの数をつくるのは、相当な人数をかけても難しいと思います。私たちパティシエは、生地が死んでしまうという表現を使いますが、手絞りのスピードでは、途中で生地が死んでしまうんですよ。焼いても浮いてこなくなってしまう。先ほど鮮度と言いましたが、乳化剤なしの生地で最後まで生地を殺さずに絞るという離れ業は、『デュアルガトーデポ』にしかできないことです。それと私たち使う側から見て、もう一つの大きなメリットがありますよ。何と言っても部品が少なくて軽いことです。ほかのデポジターと比べても軽さは半分ぐらいのイメージですね。だからとにかく掃除がしやすい。生産現場の仕事は、機械を準備してから片付けるところまでですから、これは本当に助かります」。使う方々の評判も上々だ。
同店では、「デュアルガトーデポ」のほかに「火星人」と自動配列機「セットパンナー」をご導入いただいている。「今はクッキーの生産に使っていますが、とても効率化がはかれました。レオンさんのWeb講習会などを見させていただくと、『火星人』や『セットパンナー』は、もっともっと活用できるところがあるなと思いますね」。佐藤パティシエのお菓子に対する姿勢は常に前向きだ。そんな雰囲気のせいだろうか、訪れた洋菓子工場は、黙々とお菓子づくりがなされながらも、とても活気に満ち溢れていた。

思いを集約した場所

「ル・クレール」様の新店舗には、今日もさまざまなお客さまが行き交う。ご家族で来店したという女性にお話を聞くと「駐車場が広くて私でも停めやすいし、おいしいケーキとパンが一度に買えるでしょ。それに孫を連れてきても外の広場があるから飽きないのよ。ゆっくりできて、おいしい思いもできて本当に重宝しています」と同店の魅力を一気に語ってくれた。
あらためて伴場社長に新店舗に寄せる思いについてお話をうかがった。
「元々は本店の老朽化問題があったんですが、同じ場所で建て替えるとだんだん手狭になって、お店、工場、倉庫などがバラバラなっていってしまう。だから新しい場所で建物もやりたいことも全部集約したいと思ったんです。うちは、創業時から地域密着で商売してきました。本当に地域の皆さんに育ててもらったという感じなんですよ。新店舗は、そんな皆さんに少しでも恩返しができる場所になればいいなという思いもありました。ここに来て、お菓子やパンと一緒に、ちょっとした非日常のひと時を過ごしてくださいという、ささやかなおもてなしの空間にしたかったんです」。
伴場社長の思いは、先ほどの女性のお話を聞くと着実に実現されているのがわかる。

新鮮さとデザイン性で勝負

伴場社長は、洋菓子店「ル・クレール」のほかに、ベーカリー「ル・パサージュ」、ベーカリー&カフェ「フールアンピエール」の3店舗を展開されている。今後の展開についてもお聞きした。
「基本的には今の路線で私の目の届く範囲でやっていこうと思います。その中で、地方店でしかできないことをどんどんやっていきたい。例えば、つくってから売るまでの鮮度、そして職人たちの感性が生み出すデザイン性、これはうちの強みであり生命線ですから、これからもしっかりやっていきます。現在『ル・クレール』の生菓子と焼き菓子の比率は、生菓子65%で焼き菓子が35%、やはり生菓子が引っ張っていってくれてる実感があります。よく焼き菓子の比率を上げて利益を取るという話もされますが、そこだけに注力して従来のお客さまが離れてしまっては意味がありません。何事もバランスだと思うんです。そういう意味で、新商品の『ふうわ菓』が順調に伸びてきてくれていますので、今後、生菓子と相乗効果を発揮して、バランス良くお客さまに愛される商品になってくれることを願っています」と新商品に期待を込める伴場社長。
取材終わりにコロナ禍のご苦労について聞いてみると「たとえどんな苦労があっても、お菓子をつくる時には、食べておいしいという価値観だけは絶対に忘れないようにしています」。パティシエとしての真摯(しんし)な言葉が返ってきた。あらためて 「ル・クレール」様の信頼の高さがうなずける。